江戸呑み……小笹寿し(銀座8丁目)

■江戸東京…敬意を表する先輩同輩が営む名店

■小笹寿し(銀座8丁目)


銀座並木通り8丁目。おでんお多幸銀座8丁目店の脇辺りから金春通り方面へ抜ける裏路地の途中に、銀座江戸前寿司の名店「小笹寿司」。昭和二十五年に創業し銀座一と絶賛されその後下北沢に移転した初代小笹寿しの故岡田周蔵親方のもとで修行をされ、現在ではご自身が銀座有数の江戸前寿司名人となられた寺島親方の店である。この店の特徴は昼も営業しているが特に昼のお決まり等の設定はなく夜と全く同じにやってくれること。むしろ二部制で混雑する夜よりも比較的空いている昼の方が親方と差し向かいじっくりやれるので都合がよい。開店時刻の正午にあらかじめ予約を入れてから伺う。檜柾目のカウンターには十人ほど座れるであろうか、私のほかに二組計四名の席がセットされている。まずはつまみからお願いし鄙願の大吟醸をいただく。

肴は平目の昆布〆と旬の新子、それに初代から受け継がれている穴子の雉焼、どれも旨い。特にこの時期の新子は抜群に旨い。江戸前の確かな仕事が施された新子であるが、サイズが小さすぎると同じ味はするのだが少々物足りないという印象になってしまう。今回の新子は人差し指の先っぽ大、握りにして三尾づけのサイズで最高である。絶妙な〆加減で新子そのものの持ち味が充分生かされている。酒がすすむ・・・鄙願大吟醸の代わりをもらう。つづいて煮鮑。柔らかく特に肝の部分は塗られた詰めの味と相まって濃厚で美味。旨い肴に旨い酒・・・至福のひと時。つまみをもう少し出すかと尋ねられるが、前述のつまみで結構ボリュームがあり尚且つ酒も三合ほど呑んでいるので握ってもらうことに。

まず真鯛・カワハギの肝ソース乗せそれからキス。赤酢強めの江戸前の舎利が心地よい。強めであるがネタ・舎利・山葵・煮切りのバランスが良く強めな中にも繊細さを感じる。つづいて新子の三尾付けと同じく新子のおぼろ乗せ。これが食べれただけで今回の訪問は良しという位の逸品、旨い。そして赤身鮪の漬け・トロ・鯵・煮蛤・烏賊・小烏賊の下足・赤貝・穴子と続く。鮪はかなり熟成されておりこれまた赤酢・煮切りとのバランスが良く旨い。煮蛤・赤貝・小烏賊の下足は見事なまでに江戸前の仕事が施されており、特に下足などは新子同様、どうして親方の手の中であれほど美しくまとまってしまうのか何度見ても不思議でならない。そして〆は江戸前の真骨頂ともいえる穴子。柔らかくとろけるようなその食感は何度食べても最高である。これでひと通り出たということだが何かもう一品・・・。玉子或いは今日食べていない車海老・・・・色々思案するが親方にすすめられた蝦蛄を頂くことに。身が厚く味がしっかりしている蝦蛄は煮詰めとの相性もよくとても旨い。

全て食べきったところで上がりをもらいお勘定。時刻は二時少し前。親方に旨い寿司の礼をいい店を出る。昼間から銀座江戸前寿司名店のカウンターで、本物の江戸前握りを存分に堪能させてもらった。


■小笹寿し


東京都中央区銀座8丁目6−18

第五秀和ビル1F

03−3289−2227