江戸呑み……いづ政(湯島)

■江戸東京…敬意を表する先輩同輩が営む名店

■いづ政(湯島)

 

 上野広小路を天神下方向に歩き左手ドンキーホーテの裏に関西割烹「いづ政」。ご主人の箱守さんは小台の名店「季膳いかわ」のご主人井川さん同様、今はなき関西割烹の名店銀座数寄屋通り料亭「出井」のご出身であるが、ここ「いづ政」はいわゆるコース料理がメインの小割烹と違い、あくまで酒の肴として旨いものを食べさせるカウンター割烹の名店である。この日は夕方4時半に成田に到着し急いで上野のホテルにチェックイン、ひと風呂浴びて訪問するも予約時刻10分前の6時50分の到着。台風の吹き返しと雨という悪天候であったが店内はお馴染みさんで八割方埋まっている。カウンター奥の席に通される。まずは生ビールをもらい料理はお任せでと伝えると、一夜干の魚はキンキか甘鯛になるというのでキンキを頼む。生ビールを飲み干し八海山の純米吟醸をもらう。先付けの八寸はバイ貝と海老うま煮、枝豆、オクラ、煮浸した甘唐辛子のようなもの。

 

潮椀は透き通った出汁にアラの白、そして木の芽の緑が美しく上品な味。刺身はメジマグロ・鱧・河豚・白海老・烏賊の5点盛り、どれも旨い。次に茄子の油煮。要は素揚げにした茄子を出汁に浸して冷蔵庫で冷したものだが、これが抜群に旨かった。おそらく出汁に鶏のスープも合わせているのだろう、茄子が鶏の旨味を十分に吸っているが、しつこくなく冷たくさっぱりといただけるのがいい。次にキンキの一夜干、じっくり焼いているので尾や鰭も食べられる。干すことによりキンキ旨味が凝縮するとともに旨味成分(アミノ酸)が増しとても旨い。やはり魚は生の塩焼きよりも少し干したものの方が旨いと思う。

ここで「お腹一杯になったら声かけて、うちはストップがかかるまで旨いもんどんどん出すから!」とご主人。今日の御飯の鮎も捨てがたいが、食事なしで酒肴をもう少しもらうことにする。酒を雪中梅のぬる燗に変える。この後ヤマメの唐揚げ、サラダを胡麻であえたもの、飛竜頭、夏牡蠣をいただいたが、なかでも前日にご主人が北海道で釣ってきたという12~13センチ大のヤマメの唐揚げが最高に旨かった。衣がさくっとしていて中のヤマメの上品な白身の食感はまさに「ふわっふわ」といった感じ。この時期は鮎の唐揚げも旨いのだが今回は完全にヤマメに軍配が上がった。

なんだかんだでお銚子を3本ほどやり腹も一杯になってきたのでお勘定。「旨いもの食べたかったらいつでもおいで」とご主人。お土産に唐辛子味噌とみかんをくれた。ご主人の確かな仕事と旨いものを食べさせようという熱意に敬意を表し店を出る。


■いづ政

 

東京都文京区湯島3丁目38−3

TSゆしま1F

03−3832−3210