江戸呑み……寿司幸本店(銀座数寄屋通り)

■江戸東京…敬意を表する先輩同輩が営む名店

■寿司幸本店(銀座数寄屋通り)

 

 銀座六丁目数寄屋通り中ほどに創業明治十八年江戸前寿司の老舗「銀座寿司幸本店」。この日は午後二時から池上の実相寺で行われた落語会「たまごの会」に出向きその後芸人さんや有志の方々と池上駅近くの釜飯屋で打ち上げをするも、一人銀座に到着したのは夜九時半過ぎ。この時間から気兼ねなく一杯やれるところというとすぐ思いついたのが数奇屋通り銀座寿司幸本店。早速電話で問い合わせてみるとだいじょうぶとのこと五分で行くと伝える。到着すると二階カウンター正面のちょうど中ほどに通される。時間が許せば少し呑みたいのだがというと仕舞いの時間まではまだまだ余裕があるとのこと、つまみで燗酒をやることにする。突き出しに大浅利のとろっとしたのに柚子をそえたもの。続いて墨烏賊ゲソの味噌漬け・縞鯵のハラス・葱間焼・茗荷のサラダ等。どれも旨い燗酒がすすむ。酒の替わりをもらう。

 寿司屋のつまみというと寿司ネタを切っただけのようなものしか出さない処も多いが、そのような店ではゆっくり酒を呑むことが歓迎されていないようでいけない。ここ寿司幸本店のように一品一品仕事を施した酒のつまみを食べさせてくれる店の存在は、酒呑みにとっては非常にありがたいものである。つまみをどんどん出してくれるのでいくらでもやれそうな気がするが、そうはいっても時刻はすでに午後十時半過ぎ。名残惜しいが燗酒を三本やったところで替わりをもう一本もらいそろそろ握ってもらうことに。

墨烏賊・縞鯵のハラスの炙り・椎茸・漬けマグロ二種類・車海老・匙で食べる雲丹の握り・コハダ・穴子の磯辺・赤貝・玉子など。テンポよく握られる江戸前寿司を次々に口に放り込んでいく。旨い。寿司ネタを下にして口に放り込むのが良いと何処かの寿司屋で聞いたことがある。口の中でまず舌にネタが直接当りそして山葵、舎利が解けてと・・・食感のバランスが良いのだという。そんなことを意識しながら食べてみる。いわれればそんな気もする。〆に先程の車海老の味噌汁、海老味噌の出汁がよく出ている。海老の赤と刻み葱の緑そして柚子皮の黄色が見た目にも美しい。

この日私を担当してくれたのは桧山さんと水谷さん。二人とも寿司の技術はさることながら話がとても面白く、一人で来た私に旨い寿司・酒とともに楽しい時間を提供してくれた。至福のひと時。


■寿司幸本店

 

東京都中央区銀座6丁目3−8

03−3578−1968