江戸呑み……鎌寿司(浅草田原町)

■江戸東京…敬意を表する先輩同輩が営む名店

■鎌寿司(浅草田原町)

 

 浅草田原町国際通り雷門一丁目の信号から菊水通りを東本願寺方面へ少し進み、たぬき炉端のを右折、最初の四つ角を左に折れると「鎌寿司」。知人との久しぶりの会食にあたり「どこか面白い店が良い」とのリクエスト有り。であればとここ鎌寿司を予約しておく。鎌寿司は那須出身の気さくなご主人と江戸っ子の女将さんとで切り盛りする江戸前寿司店。カウンターに座りご主人の魚に対するうんちくを聞きながら酒を呑み握りをつまむという趣がこの店の良さ。夕方五時半の開店と同時に暖簾をくぐる。カウンター中央に陣取りまずはキリンラガーで乾杯。肴にはメバチの中落ち・煮蛤・コハダ・とり貝・真蛸など。どれも旨い。知人からビールを飲み過ぎると酒が飲めなくなるとのご意見あり、早々にビールから新潟の酒「参乃越州」純米吟醸に切り替える。すっきりしていながら旨味も充分に含んでおり旨い。

 それからスズキの焼き・海老味噌・栃木産の干瓢・新子などが続く。ご主人から先ほどのコハダとこの新子とどちらが旨いかと尋ねられたので、新子はコハダと同じ味がするがまだちょっとばかり小さいので旨いが物足りなさを感じるというと、それでよいと言われる。どの魚も採れた時期や大きさによって食感が変わるので一概には言えないということだ。参乃越州の四合瓶が空いてしまったので替わりをもう一本もらう。

 そろそろ握るかと尋ねられたので握ってもらうことにする。まずは江戸前鮨の代表格ともいえるコハダ、それから中トロ2貫・烏賊・真子鰈・赤貝・雲丹そして江戸前の華ともいえる穴子そのあと煮蛤が手渡しでやってくる。どれも旨い。特に印象に残ったのが煮蛤。最近は煮ると固くなってしまう蛤とよく遭遇するが、この蛤はふっくらと柔らかくまた詰めの具合もいい感じで酒がすすむ。2本目の参乃越州が空きストック切れということで日本盛の「惣花」をもらう。続いて四巻切りの鉄火・玉子・鱈子の磯辺・メバチ背トロの炙りと続く。

余談であるがここのご主人が握りを付け台に置くときに少しばかり特徴がある。勢いよく来てトンッという音がする。勿論握りそのものの音ではなく親指が付け台に当たったことによるものであろう。その後煮切りの刷毛が来る。・・・・・トンッ、、、チョンッチョンッッ!   というような感じ。数年前にとある辛口評論家がこの寿司の置き方が気に入らないとして、ここ鎌寿司を「握りを投げる寿司屋」とか「浅草の寿司屋に銭形平次がいた」などと形容したことから「浅草銭形平次論争」に発展したことは記憶に新しい。その話題に及ぶとご主人苦笑い。「随分色々な方が『そんなことは無い!』と助けてくれたんですよ」と女将さん。個人的には小気味のよい調子で尚且つ握りそのものに与える影響など殆ど無いと思われるので、別に向きになって言うほどのことでもないと思うのだが、店が有名になればなるほど色々な客が来て色々なことを言うのだと思った。話がそれたがこれら全て食べ切って七時半。お勘定をしてもらい旨い寿司とご主人の楽しい話に礼を言い店を出る。馬道のおでん屋へ移動。


■鎌寿司

 

東京都台東区西浅草2丁目11−1

03−3844−6915