江戸呑み……久原(渋谷並木橋)

■江戸東京…敬意を表する先輩同輩が営む名店

■久原(渋谷並木橋)

  

渋谷ヒカリエのオープンや東横線地上ホームの閉鎖等により最近変貌の激しい渋谷へ。20年近く前通勤で1年ほど利用していた旧東横線地上ホームはすっかり仮囲いで囲われ中を見ることはできない。現在東急東横線が中目黒駅における地下鉄日比谷線との相互乗り入れを終了してまでも渋谷駅地下ホームから地下鉄副都心線に乗り入れたのは、五島グループ時代からの東急電鉄の野望「新宿乗り入れ」を成就させる為と聞いたが嘘か否か。JR東口を出て国道246号の歩道橋を渡り渋谷警察署を左に見ながら明治通りを恵比寿方面へ。並木橋の信号を超え次の信号を右に折れると小料理久原。テーブル3席と3人掛けのカウンターがあるだけのこの店は、基本4組の客の予約しか取らず客に美味しい物を食べさせたいと願うご久原さんご夫婦が営む小料理店。2週間ほど前に予約を入れておき約束の7時に店へ入る。

 先客はふた組、一番奥のテーブル席へ通される。まずはビールをもらう。先付けに菱の実を茹でたもの。菱は主に北海道などに生息する水草で実は澱粉質で栗の実のような趣、ホクホクとした食感で旨い。メニューを見ながら酒の肴は何が良いかと思案する。このての店の場合、料理はお任せのコースのみというパターンが多いのだが、ここはアラカルトでも頼めるのが酒飲みには嬉しい。コース制にすれば正直店は自らの負担を少なくし客に良いものだけを効率的に提供できるのだが、あえてアラカルトで勝負して客に好きなものだけを注文させるいるというご主人の心意気に敬意を表したい。

 刺身盛りを含め4~5品の酒肴を注文する。今日の刺身盛り合わせは金目鯛・イサキ・赤貝の三点。はじめ蓼の仲間かと思いきや糸もやしだ。大根のツマのかわりに糸もやしが添えられている。これは珍しい。刺身はどれも鮮度がよく旨い、獺祭の純米大吟醸がすすむ。ほかに国産の松茸焼、飛龍頭のあんかけ、芝海老と三つ葉のかき揚げなどをもらう。どれもご主人の丁寧な仕事が施された一品で満足。冷たい酒約3合と菊正宗の熱燗を1合もらい〆にシラス飯をいただき店を出ると、ご主人と女将が店前で見送り。こちらが明治通りにでるまで見届けてくれた。渋谷という場所柄そうそう訪れることはできないが、是非また違う季節にでも訪れてみたい名店。


■弁天山美家古寿司

 

東京都渋谷区東2丁目25−38

03−6427−7877