江戸呑み……弁天山美家古寿司(浅草馬道)

■江戸東京…敬意を表する先輩同輩が営む名店

■弁天山美家古寿司(浅草馬道)

 

浅草一丁目神谷バー前から馬道を言問通り方面へ。伝法院通りの入り口を越えさらに少し進むと左側に慶応二年創業「弁天山美家古寿司」。銀座二葉鮨・人形町喜寿司とともに江戸前三大始祖とされる名店である。華屋与兵衛の流れをくむ「千住みやこ寿司」で修行をした初代がこの地に開業したのが慶応二年。現親方内田正氏が五代目当主となる。余談であるが弁天山美家古寿司五代目の内田氏、人形町喜寿司三代目の油井氏、銀座二葉寿司五代目小西氏と江戸前三大始祖店の現親方がすべて立教大学OBであるのは偶然であろうか。この日は午前中浅草で買い物をした後、家族で江戸前寿司を食べようということになり思いついたのが「弁天山美家古寿司」と「紀文寿司」。先に弁天山美家古寿司に電話予約を試みるとテーブル席であれば大丈夫とのこと、紀文寿司は正午ちょうどにならないと店が開かないこともあり今日は弁天山美家古寿司にお願いすることにした。予約時刻の11時半に店に入ると奥左側のテーブルに通される。付け場の親方に「宜しくお願いします」と挨拶をし着席する。

4月とはいえ天気もよく汗ばむ陽気、ビールをもらう。突き出しは鮪の血合いを生姜で煮たようなもの。私は握り12貫に巻物がついた「弁天山」を家内は同じく12貫に小漬け丼がついた「鬼灯」を注文、小漬け丼は息子に食べさせたいので先にもらえるかと訊ねたところ快く承知してくれた。お願いしたとおり小漬け丼が一番に運ばれその後我々の先の握り6貫が運ばれる。息子に鮮やかなメバチの赤身が美しい小漬け丼を食べさせる。私と家内は握り。平目の昆布〆・コハダ・真鯛・ミル貝・赤貝・縞鯵・・・どれも江戸前の仕事が施されているネタ・舎利・山葵・煮切りのバランスが非常によく旨い。

醤油はつけずひとつひとつ味わいながらいただく。至福のひと時。いつの間にか店内は予約客でほぼ満宅となる。五代目親方がひとり付け場で寿司を握り、六代目や若い衆は二階で下仕事をするというスタイルなので、付け場がだんだん忙しくなる。早く来て正解だ。ほどなく後の握り6貫も運ばれる。メバチ中トロ(弁天山は漬け鮪)・キス・才巻海老・ 爽煮の穴子・玉子・煮スルメ烏賊。キスの握りなどこれぞ江戸前といった感じで何とも粋だ。穴子・スルメ烏賊はツメが塗られている。玉子は吉野鮨のような薄焼きを割ったタイプ。どれも旨い。そして巻物の干瓢と鉄火、干瓢は4巻き切りでなく鉄火と同じ6巻き切り。どちらも旨い。ランチではあるが江戸前寿司を思う存分堪能し皆満足な様子。狭い店内が混雑してきたがゆえお勘定を済ませ御暇する。このあとタイにいる知人へのお土産を買うため仲見世をぶらぶら、その後リムジンバスで成田へ。


■弁天山美家古寿司

 

東京都台東区浅草2丁目1−16

03−3844−0034