江戸呑み……花ぶさ(神田末広町)

■江戸東京…敬意を表する先輩同輩が営む名店

■花ぶさ(神田末広町)

  

 土曜日の昼に知人と浅草の飯田屋で会食を予定するも相手が急用でキャンセル、ひとりで泥鰌もないだろうと思い末広町の「花ぶさ」へ行ってみることに。ホテルのある昭和通りから仲徒一通りを中央通りまでぶらぶらと歩く。中央通りを外神田6丁目側に渡り一本裏手の路地に昭和39年創業料理屋「花ぶさ」。店に入るとくの字のカウンターのやや奥に通される。土曜日ということもあり客の入りは半分ぐらいだが、すでにカウンターでボトルの酒をやっているツワモノもいる。料理屋によってはランチタイムは酒を遠慮してしまう雰囲気があるが、ここは昼から普通にゆっくり呑める雰囲気がいい。

生ビールを頼む。メニューにはランチセットや昼限定のご膳もあるが折角なので池波正太郎氏命名「千代田膳」を作ってもらうことにする。先付けに梅の甘煮と穴子を香ばしく焼いたもの、それに鱧の吸い物。吸い物とは酒の肴として出される椀をいう。それに対し御飯と対に出されるものは汁物、或はコースの最後の食事としてご飯とともに出されるものは止め椀と呼ぶ。陽気が暑いこともありビールがすすむ。替わりをもらう。程なくメインの松花堂弁当が運ばれる。内容はノドクロの塩焼・鰹たたき・芝海老の真薯・水茄子と蟹の餡かけ。どれもきちんとした和食の仕事が施されており旨い。

酒呑みは料理を蔑ろにしている訳ではないのだが、まずとりあえずなどといい料理をアラカルトで少しだけ頼むも結局酒だけで腹いっぱいにしてしまうようなきらいがある。ゆえにきちんと料理の流れに沿って酒を楽しむということも大事なのだと改めて感じた。ここで玉子焼き。それから食事は出しても良いかと尋ねられたのでもらうことにした。鮎の御飯と赤だしのナメコ汁に香の物。鮎のごはんは旬の新鮮な鮎の旨味と焼きの香ばしさがすばらしい。

ひと通り食べ終わったところで出される甘味のぜんざいは甘過ぎず上品な味なので腹いっぱいでも無理なくいただけた。熱いお茶を一杯いただきお勘定。板長と女将さんに旨い料理の礼をいい店を出る。女将さんによれば食事だけではなく板長にお任せの酒肴で一杯というのも歓迎ということなので、次回は夜に伺い是非お任せの酒肴で酒を楽しんでみたいと思う。


■花ぶさ

 

東京都千代田区外神田6丁目15–5

03−3832−5387