江戸呑み……尾花(南千住)

■江戸東京…敬意を表する先輩同輩が営む名店

■尾花(南千住)

  

明神下神田川、野田岩、竹葉亭などと並ぶ老舗鰻店であるがミシュランで星を獲得したことでいっそう人気に拍車がかった南千住「尾花」。ミシュランによれば世界一の食都は東京だという。星の獲得数が世界の都市の中で一番ということなのだろうが、まあいずれにせよ東京が世界有数の美食都市であることは間違いない。その東京にある有名鰻処であることに加え予約を一切受けない為開店前から長蛇の列、時には一時間以上の待ちも覚悟しなければならない。飲食店で並んで待つということがあまり好きでないことと一人呑みが多いためあまり足が向かなかったが、今回は知人が一緒のため待つのもさほど苦にならないだろうということで久しぶりに訪問してみることにした。開店30分前に到着するも先客8名。開店時刻には行列が70~80名ほどになったが我々は一巡目の2組目だったためスムーズに着席できた。

 鰻の重は出来上がりまで40分ほどかかるためキリンラガーで乾杯。10月になったといえ汗ばむ陽気、外で1時間待った後のビールの旨さはひとしお。肴に鯉の洗い、隠れメニューの焼鳥、漬物を。ビールがすすむ。鯉は川魚特有の泥臭さの微塵もなく特製の酢味噌とマッチして旨い。焼鳥は2本で1200円というと驚く方もいるが、鳥の肉質がよくボリュームもあり何よりタレの味のバランスと焼加減が素晴らしい。焼鳥専門店裸足の逸品である。大瓶3本飲み干し時間にしてちょうど40分で鰻の重と肝吸が運ばれる。

この重の蓋を開ける瞬間がなんともいい。重の中から熱々の湯気と香ばしい鰻そしてタレの香りが立ち上がる。至福の瞬間。鰻を一口頬張ればフワリととろける食感、絶妙な蒸し加減焼き加減で香ばしさと上品なタレの味わいが口いっぱいに広がる。脂っぽさや臭みは全く無い。夢中になって鰻重を頬張る。鰻重の味についても個人個人の趣味趣向であるため賛否両論あると思うが、やはり尾花の鰻重は旨いと思う。この店の関東風ならではの形を崩さずにふっくらジューシーに仕上げる蒸し方はさすが東京の老舗鰻店と唸らせるものがある。

重をすべて食べ終え上がりをすすって席を立つ。入り口の下足番に木札を渡し玄関でお勘定。天気がよいので三ノ輪大関横丁まで散歩、それからバスで浅草六区へ。心から来てよかったと思えた鰻「尾花」であった。


■尾花

 

東京都荒川区南千住5丁目33–1

03−3801−4670