江戸呑み……釉月(人形町)

■江戸東京…敬意を表する先輩同輩が営む名店

釉月(人形町)

 

人形町大門通りを料亭濱田家脇から北上し三つ目の四つ角を右折、少し行くと左に富沢稲荷神社、その少し先右側のビルの階段を地下1階に降りれば、優良な第三世代居酒屋として雑誌やTVなどのメディアにも数多く取り上げられた「釉月」。ご主人はもともと第一ホテルの洋食の調理師であったがその後和食店・居酒屋の調理等も経験し独立、居酒屋という食のカテゴリーに縛りのないフィールドで、和洋折衷酒に合う料理を提供している。この日は秋の日本一時帰国に合わせての訪問、約ひと月前に予約を入れカウンター席お願いしておく。秋の過ごしやすい陽気のなか日本橋界隈を散策、その後八重洲の「ふくべ」でちょこっとだけ湿らせて予約時刻の6時ちょうどに伺う。

前もって開店時刻一番予約を入れ伺うも6時の開店とともに予約客でほぼ満席となる。カウンターほぼ中央に通されまずはビールを、肴に天然うなぎの白焼きと水菜と白魚の煮浸しを頼む。突き出しには鶏のつみれを出汁で煮たようなもの。ビールの喉越しを楽しみながら料理を待つ。店内はさほど広くなくカウンター内にご主人を含め三人のスタッフがおり、調理や酒の用意・客の対応などすべての仕事をこなしている。まあ三人で三十人近い客をまわしているわけだがら、その忙しさたるもの容易に察することができる。相当な手際のよさがが必要となるのだろう。時間がかかるのは仕方ないと思うが、この日はさほど待たずに料理が運ばれた。同時に酒も注文する。今日おすすめの静岡「開運」の「波瀬正吉伝」純米大吟醸斗瓶取り。この純米大吟醸は大変貴重な酒であり海外で呑むことなどまずできない逸品。ひと口ふくむ・・・旨い。純米大吟醸であるがおとなしすぎず若干の酸味を感じる。天然うなぎは山葵と天然塩でいただくが地焼きにもかかわらず柔らかくふっくらとした食感、この酒との相性もとてもよい。水菜と白魚の煮浸しは優しい味で箸休めに丁度いい。酒の替わりをもらう、同じもので。

 続いて宮城産の松茸ホイル焼き、鯖へしこ粕漬け焼きを頼む。今秋前半は国産松茸が豊作で比較的安価で楽しめるのが嬉しい。香りが素晴らしい。へしこは粕漬けとあるがむしろへしこの塩分を酒粕が吸ってくれていることに加え酒粕そのものの甘み・旨味が加わり旨い。先ほどから私の座ったカウンター上段に萬膳の原酒「流鶯」(黒麹)の緑のボトルがみえている。折角なのでへしこの粕漬け焼の合わせてみる。旨い・・・至福のひと時。ひと通りいただいたところで牛スジカレーで〆る。まさに洋食屋のカレーといった趣で旨い。居酒屋だからといって必ずしも和風にこだわる必要もないのであろう。また量を調整してくれるのも嬉しい。楽しい時間と旨い料理のお礼をいい勘定を済まし帰路につく。今夜はよい気分で眠れそうだ。


■釉月(人形町)


東京都中央区日本橋富沢町6–6

ホワイトセブンB1F

03−5640−0733