江戸呑み……狩の川(神田小川町)

■江戸東京…敬意を表する先輩同輩が営む名店

■ 狩の川(神田小川町

 

この日は夕方5時から銀座数寄屋通りの佃喜知で一杯やるも、予約なしで飛び込んだため夜7時までという時間制限付きのカウンター着席…。店内が少しずつ混雑してきたため遠慮して6時半過ぎに店を出るもまだもう少し呑みたい気分。この時間からさてどうしたものかとあれこれ思案したが、駄目もとで小川町の狩の川に電話してみると一人ならカウンターに着席できるとのこと、すぐに伺うと伝え席をとっておいてもらう。神田小川町交差点を本郷通りお茶の水駅方面に少し進み右側に連合会館が見えたあたりを左折した左側のビルの地下に「狩の川」。店に入るとカウンター角に私の席を残しすでに満席。とは言えカウンター8~9人と小さなテーブル席が2つだけの小さな店ゆえギュウギュウといった圧迫感は全くない。また客席の清掃が行き届いていること加え、おでん鍋や厨房内の鍋・備品等すべてが奇麗に磨き込まれており気持ちが良い。

席に着き酒は何が良いか考える。田酒・七田・南部美人など冷用酒の品揃えが短冊に書かれておりあれこれ迷うが、佃喜知ですでに燗酒をやってきたのでここは首尾一貫ぬる燗で。この店の燗用酒は「褒紋正宗」、白鷹の限定流通品で都内でもこの店や湯島の多古久など数件の店でしか呑むことができない。相変わらず旨い、突き出しに青菜とソーセージを炒めたようなもの。今日の献立の中からこの店の名物である鰯の梅煮とアイナメの昆布〆をもらう。店内は二代目のご主人が一人で切り盛りするが女将さんの姿はまだない。女将さんは決まって遅れてくる、何か余所で仕事をしているのだろうか或は家事を済ませてからお店にやってくるのかもしれない。ご主人ひとりで十人からの客を相手にしているのだから燗酒をちびちびやり焦らず肴を待っていたが、ほどなく先ほどのふた品が運ばれる。

アイナメの昆布〆が旨い。個人的に寿司でも刺身でも〆ものは大好きである。隣の客もアイナメが食べたいといい出し注文するとそれで終わりになってしまった。早めに頼んでおいて正解。鰯の梅煮も圧力鍋で骨まで柔らかく煮込まれており相変わらず旨い。先の肴2品で燗酒を2本やった後、酒の替わりと合わせおでんをもらう。大根・スジ・厚揚げ・つみれを注文、店主が湯煎式のおでん鍋より取り分けてくれる。出しが透き通っており上品な味に煮仕上がっている関西風おでん。我々が普段構っている江戸東京おでんとは全く異なるものではあるが、優しい味でたまにはこういった関西風のおでんも良いものである。

褒紋正宗のぬる燗と旨い肴に満足。いいこんころもちになりそろそろ御暇しようと考えていると女将さん登場。入れ違いのようでなんとも心苦しいが今日は腹一杯の為お勘定。寒空を下足早に地下鉄小川町駅に向かう。


■狩の川(神田小川町)

 

東京都千代田区神田小川町2丁目14–6

KT小川町ビルB1F

03−3293−2006