江戸呑み……赤津加(外神田)

■江戸東京…敬意を表する先輩同輩が営む名店

■ 赤津加(外神田

 

秋葉原駅電気街口を出て中央通りを渡り左に総武線ガードを見ながら昌平橋方面へ。秋葉原ラジオデパートの先の角を右に曲がるとすぐ右側に季節料理「赤津加」。昭和二十九年創業、今となってはここ秋葉原に似つかわしくない木造日本家屋風の居酒屋店である。入り口正面に掲げられた欅一枚もの木彫りの「菊正宗」の看板が渋い。金曜日の夜7時過ぎ、神田淡路町の「みますや」で知人のタイ好きマサさんと一杯やった後外堀通りをぶらぶら歩き秋葉原に・・・赤津加を覗いてみて座れそうだったらちょっとやっていこうということに。正面の引き戸を開け指で二人と合図をするとカウンターの女性がちょっと待ってと合図を返す。どうやら満席だが会計中の客がいるらしい。すぐに二人組みの客が帰り入れ替わりでカウンター正面中央に着席。ちょうど酒燗器の真ん前。本来なら菊正宗のぬる燗といきたいところだが、今日はさくっと一時間勝負、一ノ蔵の特別純米酒辛口の四合瓶を二人で呑みきって帰ることにした。突き出しは貝柱と胡瓜と若布の酢の物

肴にワラサ刺身・焼鰈・おこぜの唐揚げを注文。一ノ蔵の純米酒は喉越しがよくスイスイ入ってしまう。店内はほぼ満席の状態だが三人いる板さんの手際が良いのかさほど待たずに料理が運ばれた。ワラサは出世魚であるブリの成長過程60~70センチ位の物をいう。イナダとブリの間。脂の乗りが成魚ブリほどしつこくなく旨い。鰈の一夜干を炙ったものは生のそれよりアミノ酸が増し旨い。日本酒によく合うので好きだ。オコゼの唐揚げも思ったより骨っぽくなく旨い。江戸前のおこぜを肴に酒をやるなどなんとも風情があってよいものだ。

 またカウンターの中でお店の方が燗酒つけている姿もよい酒の肴だ。徳利の口にアルミ製の序路を挿したものを左手に持ち、右手の年季の入った一合枡で酒を量り徳利に入れ酒燗器に挿していく。物理的には料理や酒の味に直接関係することではないかもしれないが、酒呑みの心情としては昔ながらの下町の居酒屋を思わせるその動作・姿が酒をいっそう旨くさせる。酒の旨さというのは何も味覚・嗅覚といった要素だけで決まるものではないのである。

 ひと通り食べ終わり四合瓶の酒もちょうど空いたのでお勘定。大衆的な店でありながらどこか気品・江戸っ子の粋さといった部分を忘れずに日々営業しているこの店は、是非とも定期的に訪れたい私のお気に入りの店のひとつだ。


■赤津加(外神田)

 

東京都千代田区外神田1丁目10–2

03−3281−2585